2021 Super Round Rally vol.4

4日目

毎年年一回が待ち遠しいスーパーラウンドラリー。

そして始まるとあっという間に終わってしまう夢の様な5日間。

競技最終日を迎えさみしいかぎりだが、その反面、今の状況のままラリーよ早く終わってくれ!と願う気持ちもあった。

七時雨山荘のロケーションは、これまた非常に素晴らしいところで兎に角写真映えするところ、朝早くから山荘の裏手に広がる芝生に愛車を並べて思い思いに撮影会が行われた。

自分の愛車を撮る、撮る、撮る。

私は、昨日部品を交換したこともあるので、砂利道に注意しながら少しバイクを走らせてみることにした。

バイクはエンジン一発始動、愚図ることなく今日もバッチリだ!

泣いても笑っても今日一日の結果で全てが決まる。

スタートまで至福の時間。

さて3日間のリザルトはこんな感じである。一番右端がトータル順位となるが、日ごとの順位、タイム順位、獲得ポイント数など、細かくデータ集計が出来るプログラムになっている。

1日目↓

2日目↓

3日目↓

この競技は順位ごとに付加されるポイントが変わる、1位15ポイント、2位12ポイント、3位9ポイント~、10位以下は1ポイントの付加となる。

2位との差は僅か13ポイント。3位との差もさほどではない。

2位も、3位も常勝者である。常に3位以上に入らないと優勝はかなり厳しいだろう、、、。

そして色々な思いを胸に始まった最終日、1区は先行オフィシャル。

今回はスタートもバッチリ、玉砂利でこける事もなく山荘を後にした。

一緒に走ったのは、ジョージアさんのCB125JXとS藤さんのドカティモンッア、今回排気量もパワーも同じ位のバイクと一緒に走った。

宿から50キロの移動

2区の先行オフィシャルがスタート

2区は市内を抜ける約42キロ。

盛岡市内を抜ける国道13号は信号ごとにつかまって、ストップゴーが何度も続く。

同じタイミングで出発した競技者と、信号で止まるたびにチラチラと顔を見て

「これは嫌な道だね~。」

一体先行オフィシャルはどれ位のペースでこの道を走ったのだろうか?

先行オフィシャルの顔を思い浮かべ、どんな風に走るか色々想像するのだが、あまりにも信号が続くのでペースの感覚が麻痺、途中からもう訳が分からず、とりあえず無茶せず信号のタイミングに合わせてそのまま走行2区のポイントへ

連日好天に恵まれ、絵にかいた様な空が広がっている。

3区は62キロ更に南下

ここの区間は、予想していた時間になってもポイントに到着せず。

先行オフィシャルは昼前だしゆっくり走るだろうと予想していたが、なかなかポイントが見えてこないので、おかしいなぁと思い始め、少しづつペースを上げる。

県道37から4号に入り、途中から260号へ

途中でガソリンコックをリザーブにしたが、携行缶にガソリンが5リッターほど入っていたので、そのままポイントを目指すことにした。

磐井川を渡る橋を通過したところで、ポイント目の前でガス欠!

私はバイクから降りると、ポイントにむけてベスパを押しながら猛然と走った。

気の毒に思ったか?自分のペースを守ったのか、後続の競技者は誰も私を抜かなかった。

3区ポイント岩手県一関市田村町にある「せきのいち」がポイント。

洒落た蔵の様な建物に昼食はこれまた珍しい、全部つきたてのお餅だった!

初めて蒟蒻番所に来た時以来の衝撃だった、日本には色々な店があるなぁと感心した。

さてこの区間、先行オフィシャルはポイントをどこにするかで、しばらく店の付近を迷走したとのこと、それを聞いて走らずに、歩いていれば区間賞だったのかもと落胆する。

昼食を終えて午後の競技がスタートする、午後はリアオフィシャルなのでとりあえずのんびり行くかと準備を始めた。

先ずはガス欠になったので給油だ、初日に無残な姿となった携行缶、本当に役に立った。

さて給油をしようと蓋を開けると、、、おかしい、ガソリンがほどほど入っている。嫌な予感がする、案の定携行缶も空にならない、止まったのはガス欠ではなかったのか、、、?

そして、恐る恐るキックをすると、ベスパのエンジンはうんともすんとも言わなかった。

急いでプラグのチェックをした、火花が出ていない、、、。

異変に気付いて仲間が集まってくる。

あれこれ試すがダメ、というよりも火花が出ない時点で考えられるのは、交換したばかりのコイルがパンク、またはCDIのピックアップ部分の破損等など、、。

交換するにももう部品の手持ちがない。

万事休すである、、、。

この区間はリアオフィシャルだが、リタイアとなれば残り2区間走れないことになる、というより、ここでリタイアということは競技失格ということになるのではないか?

ここまで頑張ったのに、、

目の前が真っ暗になるというのはこういうことを言うのだろう。

私はベスパをトランポに載せると、助手席に沈んだ。

4区は一関市を抜け国道457を南下途中で宮城県に入る。

トランポの運転は歌さん、落ち込む私にかける言葉もなかったろう。

さてどうしたものかと諦めつかず色々考える、コイル以外に見落としがないか考えた。原因がなんてことないつまらない理由だったりして、それさえ気づけば走れたのに、、、なんて状況になるのだけは嫌だった。

キックして火花が出ない、コイルがパンク、コイルがパンクしててもキックした瞬間、テールライトが一瞬ともるはずだが、それも無し、やっぱりピックアップの破損、リタイアか、、、。

色々考えてるうちに段々冷静になると、先ほどあれこれ試しているときに、モトグッチのM君が「ここは?ここは?」と言ってイグニッションを指さしている事を思い出した。

イグニッション、イグニッション?、、、、、ここである事が閃いた。

ベスパを買った時にイグニッションからコイルに伸びるマイナスアースを引き直したのだが、ボディーの中を通すのが面倒で、外側に配線していたのである。

もしかして、あのアースが悪さをしているのでは?

私はポイントに着くとすぐさま、コイルのマイナスアースを外し、キックした、すると何事もなかったかのようにエンジンがかかった!

トランポから急いでベスパを下ろす、先行オフィシャルは既にスタートしていたが競技スタートには十分間に合った!

5区63キロ

最終区6区70キロ

最後の2区間をどう走ったか?ほとんど記憶にないのだが、何も考えず、ただひたすら走ることを楽しんだように思う、それこそ壊れてもおかしくないくらい回して走った気がする、そしてゴールに到着してベスパってビックリするくらいタフなバイクなんだと思った。

最後のチェックポイントを通過、4日間の熱い戦いが終わった。

私は最終日、区間賞こそ逃したが、2区と6区で2位、その他の区間も辛うじて6位以内につけ、挑戦14回目にして優勝した。

総獲得ポイントは140ポイント、2位が114ポイントだったので、仲間の助けと、色々なラッキーが重なったが文句なしの優勝だと言えるのではないだろうか。

私のベスパは2年前に乗りっぱなしの状態の物を購入、エンジン以外一通り手を入れ、普通に走る様にした。

不具合は2,3速のギア抜けに、ウインカーが点いたり点かなかったり、流石にそろそろエンジンをオーバーホールしたほうが良いだろう。

初日にいきなりオイルタンクの破損、2年乗っているのにこのタイミングでの破損。

後で思うのだが、あの時オイルタンクが破損していなければ、もっと深刻なトラブルに見舞われ、途中でリタイアしていたのではないかと思う。結果的に色々な事がラッキーだったのだ。

グルッポRSのラリーに参加して14回目、やっと優勝する事が出来た。

私が14年もかかったと言うと、「俺なんか30年近くかかった、次優勝するのは90歳になってからだ」とジョージアさんが言った。

優勝は仲間のおかげ、押し掛けを手伝ってくれた仲間、トラブルが起きた時に助けてくれた仲間達のおかげで、本当に感謝である。

2位 ドカティモンッア Jr. 強いです、市区町村ラリーでも常に上位にいます。このバイクもほんとにタフです。

3位 SUZUKI V-Strom 250 今年度のラウンドツーリング幹事さん ジワジワと順位をあげ、怖い存在でした。今回3回目の参加

5日目、気が抜けると共にラリーが終わる寂しさがこみ上げる。

優勝者は解散地点までトランポの運転をすることが決まりだ、そしてこの日は朝からあいにくの雨だった。

しかし自分で言うのもなんですが、私は晴れ男なので、解散地点から自宅のある小山市まで、雨にあたる事はありませんでした。